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徒然なるままにQM

ただのメモ帳

ボソン弦のT-双対性

閉弦の質量スペクトル

\begin{align}
m^2 = \frac{n^2}{R^2}+\frac{w^2 R^2}{\alpha'^2}+\frac{2}{\alpha'}(N+\tilde N-2)
\end{align}
よりR\rightarrow 0でも軽くなる状態が存在する。これはKK粒子を持つ通常の場の理論には見られないことである。質量スペクトルは

\begin{align}
R' = \frac{\alpha'}{R} ,\quad n' = w,\quad w' =n
\end{align}
の変換の下で不変である。この変換を(8.2.7)に行うと

\begin{align}
\label{momentum_switch}
p'_L = p_L ,\quad p'_R = -p_R
\end{align}
となることがわかる。
そこで次のような場を定義する。

\begin{align}
X' = X_L(z)-X_R(\bar z)
\end{align}
この負の符号によって式(\ref{momentum_switch})が実現される。X'Xの定数部分は異なってしまうが、理論のスペクトルを決める\alpha_nなどはすべてX微分から構成されるので問題はない。したがってXX'の理論はパラメータの変換の下で等価になることがわかる。これをT-双対性という。

次に開弦のT-双対性を考える。
開弦の場合も

\begin{align}
X' = X_L(z)-X_R(\bar z)
\end{align}
の理論はスペクトルを変えない。この変換は弦の境界条件を変える効果がある。開弦っはz平面の上半平面で表された。z = x+iyとかくとy=0,\inftyが開弦の境界であった。これより

\begin{align}
\partial_x X =& \partial_x(X_L(x+iy)+X_R(x-iy))\\
=&\partial_y(-iX_L(x+iy)+iX_R(x-iy)) \\
=&-i\partial_y(X_L(x+iy)-X_R(x-iy))\\
=&-i\partial_y X'
\end{align}
となることがわかる。したがってT-双対変換は開弦の境界条件を変える。
さらに端点間の距離を求めてみよう。

\begin{align}
X'(\pi)-X'(0) =& \int dX' \\
=&\int dz \partial X'+d\bar z  \bar\partial X'\\
=&\int dz \partial X-d\bar z  \bar\partial X\\
=&2\pi \alpha' p\\
=&2\pi \alpha'\frac{l}{R}\\
=&2\pi lR'
\end{align}
ここで\partial X' = \partial X,\quad \bar\partial X' = -\bar \partial Xと運動量の定義(8.2.6)とKK運動量p=l/R,\quad l\in \mathbb zを用いた。これはT-双対な半径R' = \frac{\alpha'}{R}の円周に巻き付いていることを示している(他の次元の方向にはNeumann境界条件が課されているので、端点がくっついて閉じているわけではない)。
つまり、弦はコンパクト次元X'軸のX'=\mathrm{const}に端点をもつ。つまり、コンパクト化された時空間Xの中を泳いでいた開弦の理論は、X'=\mathrm(const)に端点を持つ開弦の理論と等価であるのだ。この弦の端点が乗っている物体こそがD-braneである(厳密にはコンパクト化された時空間Xも開弦が乗っていたわけだから最初からD-braneは存在していたのである。つまり、一方向をコンパクト化したD25-braneの理論のT-双対はD25-braneがコンパクト方向に潰れたD24-braneの理論になる)。

次に、コンパクト空間のゲージ場について考える。 U(1)ゲージ場は物理量に微分を通してしか現れないので、定数ゲージ場には普通意味がない。しかし、コンパクト空間の時は非自明な寄与をもたらす。
ゲージ場のコンパクト空間方向の積分\thetaとする。

\begin{align}
\theta = q\oint dX^{25}A_{25} = 2\pi R qA_{25}
\end{align}
よって qA_{25} = \frac{\theta}{2\pi R}とかける。ゲージ場があると正準運動量はp\rightarrow p-qAと変化する。U(1)ゲージ場と結合するのは、弦の端点であり、弦のカレント保存則よりそれぞれの端点の電荷は逆の符号を持つ。電荷1に規格化しよう。したがって運動量のシフトはp\rightarrow p-qA+qA=pとなり、不変である。
しかし、ブレーンが複数枚あるときは話が変わってくる。n枚のブレーンの理論を考える。これは無質量レベルではU(n)ゲージ理論である。定数ゲージ場はゲージ変換で対角化可能である。

\begin{align}
\theta_i = q\oint dX^{25}A_{25,ii} = 2\pi R qA_{25,ii}
\end{align}
とすると qA_{25,ii} = \frac{\theta_i}{2\pi R}となる。したがってChan-Paton因子が(ij)の弦の運動量はp\rightarrow p-qA_{ii}+qA_{jj}とシフトする。すると

\begin{align}
X'(\pi)-X'(0) =& \int dX' \\
=&2\pi \alpha' (p-qA_{ii}+qA_{jj})\\
=&2\pi \alpha'(\frac{l}{R} -\frac{\theta_i}{2\pi R}+\frac{\theta_j}{2\pi R})\\
=&(2\pi l - \theta_i+\theta_j) R'
\end{align}
となる。よってブレーンの位置が一枚一枚シフトされることがわかる。これはU(n)理論がU(1)^n理論に破れたことを意味している。実際質量スペクトルは

\begin{align}
m^2 = (2\pi l - \theta_i+\theta_j)^2R'^2+\frac{1}{\alpha'}(N-1)
\end{align}
となり、ゲージボソンN=1,\quad l=0はブレーン間の距離に比例した質量を持つ。これがWボソンに相当する。これはブレーン上の場の理論の観点からは、ポテンシャル[A_{25},A_{25}]^2の自発的破れに対応する。