徒然なるままにQM

ただのメモ帳

向き付けられていない弦

向き付けられていない弦の状態を定義する。これは世界面が向きづけられていない多様体になることを意味しない。世界面そのものは向きづけられた多様体として扱い、状態空間のレベルで向きの変換に対し不変な状態飲みを取り出してヒルベルト空間を構成する。
向きを変える変換を次のように定義する。閉弦に対して

\begin{align}
\Omega \hat X(\sigma^1) \Omega^{-1} = \hat X(2\pi - \sigma^1)
\end{align}
となる。開弦の時は2\pi\piに置き換える。閉弦と開弦の展開は次のように書けた。

\begin{align}
X^\mu = x^\mu-i\frac{\alpha'}{2}p^\mu\ln|z|^2+i(\frac{\alpha'}{2})^{1/2}\sum_{m=-\infty,m\neq 0}^\infty \frac{1}{m}(\frac{\alpha^\mu_m}{z^m}+\frac{\tilde \alpha^\mu_m}{\bar z^m})\\
X^\mu = x^\mu-i\alpha'p^\mu\ln|z|^2+i(\frac{\alpha'}{2})^{1/2}\sum_{m=-\infty,m\neq 0}^\infty \frac{\alpha^\mu_m}{m}(\frac{1}{z^m}+\frac{1}{\bar z^m})
\end{align}
ただし、座標は

\begin{align}
z=\exp[-iw]=\exp[-i(\sigma^1+i\sigma^2)]
\end{align}
である。
向きを変える変換は、閉弦ではz\leftrightarrow \bar z、開弦ではz\leftrightarrow -\bar zとなるものなので演算子としてはそれぞれ

\begin{align}
\Omega \alpha^\mu_m \Omega^{-1}= \tilde \alpha^\mu_m,\quad \Omega \alpha^\mu_m \Omega^{-1} = (-1)^m \alpha^\mu_m
\end{align}
となる。

以下では開弦の状態について考えよう(閉弦の場合も同様にして考えられる)。
\Omegaの状態に対する作用は

\begin{align}
\Omega|N;k> = (-1)^N|N;k>
\end{align}
となる。したがってレベルが偶数の状態のみが向き付けられていない弦の状態になる。質量スペクトルは

\begin{align}
m^2=\frac{1}{\alpha'}(N-1)
\end{align}
であるから、この理論には無質量状態は存在しない。

弦理論では無質量状態が主役になるので、無質量状態が存在するような理論を考えたい。
Chan-Paton因子を考慮する。

\begin{align}
\Omega|N;k;ij> = (-1)^N|N;k;ji>
\end{align}
元の状態|N;k;ij>U(n)の表現であったがU(n)リー代数を対称と反対称のものに分けることで

\begin{align}
\Omega|N;k;ij> = (-1)^N|N;k;ji>= (-1)^N(-1)^p|N;k;ij>
\end{align}
となる。pは対称に対して0となり、pは反対称に対して1となる。無質量状態の固有値1になるとき、理論は反対称の部分リー代数で生成されるSO(n)のゲージ群を持つ。

以上の\Omegaの作用に加えてU(n)も作用させることでより複雑な変換を構成できる。

\begin{align}
\Omega_{\gamma}|N;k;ij> = (-1)^N\gamma_{jj'}(\gamma^{-1})_{i'i}|N;k;j'i>
\end{align}
まず恒等的に\Omega^2_{\gamma}=1が成り立つべきであることを説明する。\Omega^2_{\gamma}を状態に作用させると

\begin{align}
\Omega^2_{\gamma}|N;k;ij> = ((\gamma^{\top})^{-1}\gamma)_{ii'}(\gamma(\gamma^\top)^{-1})_{jj'}  |N;k;i'j'>
\end{align}
となる。これは振動子の状態によらないので\Omega^2_{\gamma}は群の状態空間のみに作用する。表現基底の行列を$\lambda^a_{ij}$とすると\Omega^2_{\gamma}の作用は次のようになる。

\begin{align}
\lambda' = (\gamma^{\top})^{-1}\gamma\lambda\gamma^{-1}\gamma^\top 
\end{align}
ここで状態|a>\Omega_{\gamma}不変であると仮定しよう。すると当然\Omega^2_{\gamma}不変でもある。しかし、\Omega^2_{\gamma}は振動子の状態空間には作用しないので、群の表現に対する作用のみで固有値1にならなければならない。したがって恒等的に\Omega^2_{\gamma}=1が成り立たなければならない。さらに\lambdaが群を生成すると仮定し、完全系をなすとすればシューアの補題より(\gamma^{\top})^{-1}\gamma =\pm 1となる。これより

\begin{align}
\gamma^\top = \pm \gamma
\end{align}
となる。\gamma = \mathbb 1とすれば無質量状態はSO(n)理論になる。一方n=2kに対し

\begin{align}
\gamma =   \left(
    \begin{array}{cc}
      0 & I_{k\times k}  \\
      -I_{k\times k} & 0 
    \end{array}
  \right)
\end{align}
として、無質量状態が固有値1になるには

\begin{align}
\gamma \lambda^\top \gamma^{-1} = -\lambda
\end{align}
となる\lambdaを選べばよい。この\lambdaが生成する群はシンプレクティック群Sp(2k)を生成する。

以上より無質量状態の理論は
向きづけられているならばU(n)
向きづけられていないならばSO(n)もしくはSp(n=2k)
のゲージ群をもつゲージ理論になる。