徒然なるままにQM

ただのメモ帳

トーラスモジュライ

トーラスの計量が(5.1.9)のように書けることを示そう。

トーラスのトポロジーから座標は$x\sim x+ 2\pi,y \sim y+2\pi$のように周期的に書けているはずである。これを前提とする。
まず、トーラスが凸凹している可能性があるので、きれいな形=曲率がゼロのトーラスに変形しよう。計量にワイル変換$\tilde g_{ab} =e^{2\omega}g_{ab} $を施す。パラメータ$\omega$は
\begin{align}
2\nabla^2 \omega = R
\end{align}
を満たすようにとる。$R$は$\tilde g$のリッチスカラーである。(この方程式は局所的には解けるはずだが、誰か証明を教えてください)
$\omega$は
\begin{align}
\omega = f(x,y)+c
\end{align}
とかける。$c$は微分方程式からは決まらない定数である。この自由度はあとで用いる。
これで$\tilde g$のリッチスカラーはゼロになる。2次元ではこれはリーマンテンソルがゼロになることと同値なので、トーラスを平坦にできた。さらに座標変換$\tilde x^a = h^a(x,y)$を用いると計量を対角化できる。これによって計量を$\delta_{ab}$に変換できる。ただしこの座標変換によって周期性は変わってしまう。周期性を次のように書こう。
\begin{align}
\tilde x^a \sim \tilde x^a + 2\pi (mu^a+nv^a),\quad m,n\in \mathbb Z
\end{align}
これは$(\tilde x,\tilde y)$の2次元平面で$u^a,v^a$のベクトルがなす平行四辺形を基本領域とするトーラスになっていることを表している。さらに座標系の回転と計量のスケール変換で$u^a=(1,0)$にできる。この計量のスケール変換に、残っていた自由度$c$を用いる。周期は次のようになる。
\begin{align}
\tilde x \sim &\tilde x + 2\pi (m+nv^1) \\
\tilde y \sim &\tilde y + 2\pi n v^2
\end{align}
さて、\tau = v^1 + i v^2と書こう。$w = \tilde x + i \tilde y$とおくと計量は$ds^2 = dwd \bar w$とかける。周期性は

\begin{align}
w \sim w +2\pi m+2\pi n\tau
\end{align}
となる。これが計量ではなく、座標の方にモジュライを押し付けた形式である。
さらにw = \hat x + \tau \hat yとおくと計量はds^2 = dwd\bar w= |d\hat x+\tau d \hat y|^2とかける。周期性は

\begin{align}
\hat x\sim& \hat x+ 2\pi m \\
\hat y \sim& \hat y+2\pi n
\end{align}
となる。これがモジュライを計量の方に押し付けた形式である。

トーラスはモジュライ \tauによって特徴づけられる。トーラスには周期的な方向が2方向存在するが、その2方向の相対的な関係をモジュライによって記述する。つまり、それぞれの周期の比と相対角度である。より詳しくは
language-and-engineering.hatenablog.jp
の中の
http://www.imetrics.co.jp/academy/EllipticCurves&ModularForms.pdf
を参照してもらいたい。
ちなみに、特徴づける量が周期の比と相対角度のように複数あればモジュライ、ひとつならばモジュラスと言う。