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徒然なるままにQM

ただのメモ帳

2次元CFTで使う「複素座標」

ポルチンスキー 物理

ユークリッド化はされているとする。世界面の座標は$(x,y)$で張られているとする。複素座標
\begin{align}
z=x+iy,
\end{align}
を定義する。複素共役にはバーをつける。
\begin{align}
\bar z = x-iy.
\end{align}
すると世界面上の場は$(z,\bar z)$の関数となる。ここでしばしば$z$と$\bar z$は独立か?といった話題が生じる。後に正則な場$\partial\phi(z)$、反正則な場$\bar\partial\phi(\bar z)$を考えたり、これらの積分をするときなどにこんがらがってしまうことがよくある。そこでこのことについて説明したい。

$z$と$\bar z$が独立のように見える計算をするせいで、しばしば$x,y$を複素数化して$\mathbb C^2$上の場と見なし、最後に$x,y$を実化するといった手法をとっていると勘違いされている節がある。これは間違いで$z$と$\bar z$は独立でなく歴とした複素共役である。勘違いの源は2次元CFTの複素微分複素関数論の微分と混同しているからである。

複素関数論の微分は次のように定義される。
\begin{align}
\frac{d f(z)}{dz} =& \mathrm{lim}\frac{f(z+\Delta z)-f(z)}{\Delta z} \\
=&\mathrm{lim}\frac{f(x+iy+\Delta x+i\Delta y)-f(x+iy)}{\Delta x+ i\Delta y} .
\end{align}
一方で2次元CFTでは微分は次のように定義する。
\begin{align}
\partial = \frac{1}{2}(\partial_x-i\partial_y),\quad \bar \partial = \frac{1}{2}(\partial_x+i\partial_y).
\end{align}
つまり
\begin{align}
\frac{d f(z)}{dz} = \frac{1}{2}\left(\frac{\partial f}{\partial x}-i\frac{\partial f}{\partial y}\right)=\mathrm{lim}\frac{1}{2}\left( \frac{f(x+\Delta x,y)-f(x,y)}{\Delta x}-i\frac{f(x,y+\Delta y)-f(x,y)}{\Delta y}\right),
\end{align}
となるため、これは複素関数論の微分ではない。これがポイントである。

複素関数論の微分では
\begin{align}
\frac{d\bar z}{dz},
\end{align}
は方向によって極限値が変わるので微分を定義できない。しかし、2次元CFTでは
\begin{align}
\frac{d\bar z}{dz}=\frac{1}{2}\left(\frac{\partial }{\partial x}-i\frac{\partial }{\partial y}\right)(x-iy)=0,
\end{align}
となり、微分が正しく定義される。この式のせいで一見$z$と$\bar z$が独立のように見えてしまうが、むしろ複素共役で、微分の定義より$0$になるのである。

次にグリーンの定理を考える。1形式$\omega = P(x,y)dx+Q(x,y)dy$を考える。$P,Q$は実関数である。微分すると
\begin{align}
d\omega =-(\frac{\partial P}{\partial y}+\frac{\partial Q}{\partial x})dx∧dy,
\end{align}
となる。なめらかな領域$D$を内部に持つ閉曲線$C$を考える。閉経路の向きは反時計回りである。ストークスの定理より
\begin{align}
\int_D d\omega = \int_C \omega,
\end{align}
が成り立つ。よって
\begin{align}
\int_D \left(-\frac{\partial P}{\partial y}+\frac{\partial Q}{\partial x}\right)dxdy = \int_C \left(Pdx+Qdy\right),
\end{align}
となる。これを2次元CFTの複素化にする。
\begin{align}
\partial_x = \partial + \bar \partial,\quad \partial_y = i(\partial - \bar \partial),\quad dx = \frac{1}{2}(dz+d\bar z),\quad dy = \frac{1}{2i}(dz-d\bar z),\quad dxdy=\frac{1}{2}dzd\bar z,
\end{align}
を用いると
\begin{align}
i\int_D \left(\partial(Q-iP)+\bar \partial(Q+iP)\right)dzd\bar z = i\int_C \left((Q-iP)dz - (Q+iP)d\bar z\right),
\end{align}
となる。$v=Q-iP$とすると
\begin{align}
\int_D \left(\partial v+\bar \partial\bar v\right)dzd\bar z = i\int_C \left(\bar vdz - vd\bar z\right),
\end{align}
を得る。右辺は複素関数論における複素平面上の線積分なので、留数定理やコーシーの定理を用いることができる。この性質を利用して面積分から留数定理につなげてOPEへとつなげていくのである。