発信力道場

がんばって日記書きます

ポルチンスキー【ストリング理論】復習

 

Polchinskiの教科書を暇なときに復習していきます

 

日本語版

1巻:平成24年5月20日第2刷発行

2巻:平成部年6月30日第3刷発行

量子力学の数学

最近になって量子力学の数学について真剣に考えることができたのでここにメモしたい。

可分でも何故ベクトルが非可算無限 作れるのか?(EMANの数式掲示板)

リンク先でもあるように、量子力学の数学というのは非常にややこしい。

というのもフォンノイマンが厳密にヒルベルト空間で定義した手法とディラックが楽観的に定義したヒルベルト空間+アルファの手法があるからである。この二つをごっちゃにしていると、量子力学の数学はなんだかよくわからない体系に見えてめちゃくちゃになるのである。

ここでは二つの手法の違いについて簡単にメモしたい。

 

フォンノイマン流の手法では量子力学の「状態」というのは可分なヒルベルト空間の部分空間で、ノルムが1に規格化されていて位相$e^{i\theta}$の同値関係$|{\psi}>\sim e^{i\theta}|{\psi}>$を入れたもので表される。

ここで、L2ノルムが入った無限次元ヒルベルト空間での可分とは可算無限基底を持つことと同値である。

計算は可分なヒルベルト空間上で行い最後に規格化するといった過程をとることが多い。

例えばスピン1/2はヒルベルト空間はエルミート内積の入った$\mathbb C^2$であるが、状態はノルムが1で全体の位相を無視するので、$(\alpha , \beta)^t\in \mathbb{C^2}$に対し、$(\alpha , \beta)\sim e^{i\theta} (\alpha , \beta)$かつ$|\alpha|^2+|\beta|^2=1$の条件が付く。一つ目の条件で$\alpha$を実にとることができ、さらに二つ目の条件で$Re(\alpha)^2+|\beta|^2=1$まで落ちる。よって状態空間は$S^2$になる。例えば$(0,0)$はヒルベルト空間の元ではあるが、状態空間の元ではないので物理的状態ではない。

 

フォンノイマン流とディラック流の大きな違いは連続固有値を持つ演算子に対する扱いである。

ディラック流の手法に存在する位置固有状態$|x>$はノルムが無限大なのでヒルベルト空間の元ではない。したがってフォンノイマン流の手法では$|x>$は登場できないし、これを固有ベクトルにもつエルミート演算子も存在しない。ただし、エルミート演算子はスペクトル分解という手法で次のようにあらわされる。

$\hat A = \int dE(\lambda) \lambda$

ここで$E(\lambda)$は固有値$\lambda$以下の固有状態への射影作用素である。演算子有界でなくてもよい。

 

ここで次のことを考えたい。フォンノイマン流で考える。

任意の状態は可算無限基底で展開できる。

$|\psi> = \sum_{n=0}^\infty a_n |n>$

 例えば$|n>$は調和振動子の固有状態と考えればよい。ここでL2ノルムの意味では$n$は$a_\infty$が非ゼロでも収束する(ベクトル空間の開集合位相の意味では収束しない)。一方でフーリエ展開を考えてみる。

$\psi(x) = \int_{-\infty}^\infty dp \tilde \psi(p) e^{ipx}$

と書ける。これはL2上のフーリエ展開なのでフォンノイマン流でも正当化される。ディラック流のブラケットで書けば

$<x|\psi> = \int_{-\infty}^\infty dp \tilde \psi(p) <x|p> $

 つまり

$|\psi> = \int_{-\infty}^\infty dp \tilde \psi(p) |p> $

 となる。これは一見ヒルベルト空間内に存在しない無限可算基底による展開のようにも思える。どうしてフォンノイマン流の状態に$|p>$が現れたのか?式をよく見てほしい。フォンノイマン流のヒルベルト空間には$|p>$は存在できない。しかしL2の関数を持ってきて重みづけした積分ヒルベルト空間の元になるのである。

したがってディラック流の状態$|x>$などはフォンノイマン流では積分でのみwell-definedな状態となる。

積分を用いなくても$|x>$を認めるのがディラック流である。ディラック流では規格化のためにデルタ関数を用いるなど、超関数の導入が必須となる。

QETとBHとエントロピー

QET(量子エネルギーテレポーテーション)を非常に簡単に説明する。登場人物はAliceとBobである。

Aliceは何らかの測定によって系にエネルギーを注入する。このとき得られた測定結果をBobに古典通信で送信する。

Bobは受信した結果をもとに系にユニタリ変換を施すことで系から(Aliceが注入したエネルギーを担保に)エネルギーを取り出すことができる。

古典通信を光ファイバーなどで行えばほとんど光速でエネルギーを送ることができたことになる。これは熱拡散などと比べると十分速い伝達と考えられるのでまさに“テレポート”なのである。

系の全体のエネルギー総和はもちろん正であるが、エネルギー密度は局所的には負の値をとれるので、Bobは正エネルギーを系から取り出すと同時に負のエネルギー波束を作り出す。この負のエネルギーとAliceが与えた正のエネルギーが打ち消しあってエネルギー総和は正になる。

 

QETについては次のブログなども参考になる。

blogs.yahoo.co.jp

 

より詳しくは次の参考書を読んでいただきたい。

 

SGCライブラリ 103
臨時別冊・数理科学2014年1月
「量子情報と時空の物理」
~ 量子情報物理学入門 ~
堀田昌寛(東北大学助教) 著

f:id:ground0state:20160504233620j:plain

株式会社サイエンス社 株式会社新世社 株式会社数理工学社

 

上記の参考書の9章でQETについて解説されている。特に9章の最後にはQETを応用してBHからエネルギーを取り出す過程が解説されている。このときのエントロピーの変化を考えてみたい。

 

通常のBHの蒸発過程では、BHのエントロピーの減少分はホーキング輻射の熱力学的エントロピーに変化し、全体のエントロピーは保存していると考えられる。

 

一方でQETの場合はAliceが注入したエネルギーでBHが形成され、Bobがユニタリ操作でエネルギーを取り出すのと同時に負のエネルギー波束をBHに打ち込みBHが小さくなる。

f:id:ground0state:20160504234035p:plain

株式会社サイエンス社 株式会社新世社 株式会社数理工学社p.163より引用)

 

このときBobが取り出すエネルギーは熱的ではないのでエントロピーは増加しないはずである。しかしBHのホライズンの面積は減少しているのでBHのエントロピーは減少している。このエントロピーはどこに行ったのか?

 

これはメモリ系を含めて考えれば解決されると思われる。

参考書に則ってAliceは2進数のNビット列の測定をしたとする。メモリの記録ではエントロピーの変化は起こらない。このビット列をBobに送信してBobもビット列を記録する。このときもエントロピーは変化しない。

しかし、ホーキング輻射と同じ状況にするにはBobのメモリをリセットする必要がある。このリセット操作には

N k_B T \log 2

の仕事が必要になる(疑問:この$T$はBobがエネルギーを取り出した後のBHの温度でよいのだろうか?)。

このとき

N k_B \log 2

エントロピー増加が伴う。

 

おそらくこのエントロピーがBHのエントロピー減少分を打ち消しあうのだと考えられる。

 

しかし、上の説明は完全ではない。ヘアーの問題があるからである。

BHは古典的にはヘアーを持たないのだが、量子論的にはヘアーを持ちうる。次の論文を参考にしていただきたい。

[0907.1378v3] Controlled Hawking Process by Quantum Energy Teleportation

テレポーテーション後にビット列の情報がホライズンの外の場の揺らぎに(永遠にではないが)残ることになる。したがってこの揺らぎもエントロピーに寄与すると考えると上記の考え方は完全ではないと思われる。(疑問:揺らぎが緩和するほど十分時間が経過したと考えれば上記の考え方でもよいか?)

 

また、情報を含めた熱力学第二法則はどうなっているのかというと、これが量子情報論の一般化された第二法則になるのである。これについてはまたいつか。

 

 

【追記】

ちなみにブラックホールエントロピーの減少分は

\Delta S_{bh}=4\pi k_B G N^2 E_B(2E_A-E_B)

である。一方でメモリの消去で増加するエントロピー

\Delta S_M=k_b N \log 2 \sim 0.7 k_B N

である。

まず$N$のオーダーが合っていない。したがって等号が成り立つとは見込めない。これは真空の揺らぎを測定する測定器の分解能が低いからではないだろうか?

第二法則としては

tex:\Delta S_{bh}\leq \Delta S_M

が成り立てば矛盾はないはずである。これは$E_B$の上限を与える式だと読み替えていいのだろうか?

 

ああちゃんと研究したい。

ドコモケータイ補償サービス2

新しく届いたリフレッシュ品を使っていたところ、ドコモの電話アプリ「ダイヤラ」が起動できないことがわかった。ダイヤラを起動しようとすると、【問題が発生したため「ダイヤラ」を終了します。】と表示されて起動できないのだ。

 

インターネットで解決法を探したが、解決法は見つからず、結局ドコモショップに持って行った。すると次の問題点が明らかになった。

1.ダイヤラが起動できない。

2.セーフモードなのにプリインストールアプリ以外も起動できる。

 

セーフモードはサードパーティ製のアプリを無効化するものである。他のアプリとの競合がないかを調べる際などに用いる。

 

今回はこの2点が異常だということで再度別のリフレッシュ品を配送してもらうことになった。また最初からデータの入れ直しをしなければならないと思うと正直面倒くさい。

 

ショップの人の対応も配送手続きもスムーズに行えたのはよかったが、いかんせんリフレッシュ品は所詮リフレッシュ品か。

 

次に来るリフレッシュ品は問題なく使えることを願う。

 

ちなみに新調した表面保護フィルムはドコモショップできれいにはがしていただいた。とりあえずこれを使いまわすつもりだが、ほこりが入ってしまったら買い替えも考えている。アマゾンで配送料込みで1600円もしたのだが(泣)。

一般化された熱力学第二法則

ブラックホール熱力学における第二法則は面積増大側のことを指す。

 

ブラックホールの外側は場の時間発展がよく定義されているとする。面積増大側とは、アインシュタイン方程式が満たされていて、物質(宇宙項含む)がヌルエネルギー条件を満たしているならば、ブラックホールのホライズンの面積は減少しない、というものである。(Wald:Th 12.2.6)

 

ヌルエネルギー条件は大雑把には負エネルギーが存在しないことを言うので、古典的にはこれは満たされているだろうと考える。するとブラックホールのホライズンの面積が単調増加になるのである。これが熱力学の第二法則に相当する。ホライズンの面積はエントロピーを表していることになる。

 

量子力学を考えると負のエネルギーというものが生じるので前提が破れる。ブラックホールからホーキング輻射が出てきてホライズンの面積は減少する。

 

そこでブラックホールホライズンの面積のエントロピーとホーキング輻射の熱力学的エントロピーを合わせたエントロピーを考え、これは減少しないというのがブラックホール熱力学の一般化された第二法則という。

 

一方で量子情報理論を用いて、情報に対して定義されるシャノンエントロピーを熱力学エントロピーと同一視することによって次のような一般化された第二法則が得られる。

\lt\Delta F\gt -\lt W \gt \leq k_B T I

[1202.0983] Second Law-Like Inequalities with Quantum Relative Entropy: An Introduction

[0710.0956v3] Second Law of Thermodynamics with Discrete Quantum Feedback Control

メモリまで含めたカルノーサイクルを考える。等温過程を考えて温度を$T$とする。系の自由エネルギーの変化が$\Delta F$で、系に対して外界がした仕事が$W$である。$I$は測定によって得られた情報をメモリに記憶した際の相互情報量である。

 

相互情報量は、シャノンエントロピーを$H()$とかき、測定される系を$S$、メモリを${M}$とかくと

I(S,M)=H(S)+H(M)-H(S \cup M)

とかける。$H(S)$はフォンノイマンエントロピーに相当する。$I$は概ねメモリまで含めたエントロピー変化と思っておけばよい。ここで

0\leq I(S,M)\leq H(M)

 を満たす。左の等号が成り立つときは測定で情報をまったく得られていないときで、右の等号は測定が古典的でエラーが存在しない時を表している。

 

以上のようにブラックホール熱力学の一般化された熱力学第二法則と量子情報論の一般化された熱力学第二法則は別物である。

ルノワール展

多くの印象派画家が集まる展覧会だった。

 
印象派は一見風景を抽象化しているように見えるが、画家たちは風景のなかの光を忠実にとらえようとした写実主義だ。
 
筆のストロークは短く、様々な色を重ね塗りしている。それぞれの色は明るい色ではないが、画面全体が作り出す構成は明るく力強いものが多い。絵画がパワーを発しているようである。
 
輪郭と背景はぼやけていて人物も絵のなかに溶け込んでいる。絵のなかに入ってみたいと思わせる楽しさが印象派にはある。
 
ルノワールのムーラン・ ド ・ ラ・ギャレットの舞踏会などまさに代表的で絵のなかの人物の幸福感が伝わってくる。
 
きっとこういうところが日本人に受けるのだと思う。
 
 
ちなみにこっそりゴッホの絵が三点、印象派からポスト印象派の流れで飾ってあってこれも楽しめた。が、人だかりは少なかったように思える。ゴッホは人気ないのか?

f:id:ground0state:20160502210926j:plain

ドコモ携帯補償サービス

もともと部屋の電波の入りが悪かったのだが、とうとう圏外になってしまった。そこでドコモの携帯補償サービスというのを使ってみた。

 

これは月額数百円で携帯の保険をかけておくというものである。故障の際に5000円でリフレッシュ品というほとんど新品のものに交換できるのである。

 

リフレッシュ品とはつまり中古品である。他の人の故障や処分した携帯の基盤を修復して外装を新品にしたものである。外から見る分には新品同様だが、基盤は中古なので新品ほどの寿命はないと思われる。

 

交換費の5000円はドコモのポイントが使えるので長くドコモを使っている人はお金をかけずに携帯をリフレッシュできるというわけである。

 

基本は故障した携帯と同一機種の交換になるが、リフレッシュ品の在庫がない場合は同等品との交換になる。今回はちょうど在庫があったため同じ機種で交換することができた。

 

また午前中に電話したところ翌日の午前中着で交換機を届けてくれた。届いたリフレッシュ品にデータを移し替えた後、故障品をドコモに郵送する形となる。

 

リフレッシュ品を使ってみたが、部屋の中でもしっかり電波が入る。新品同様の品質である。寿命はわからないがしばらく様子を見てみることにする。