あいちトリエンナーレ感想

あいちトリエンナーレとは

あいちトリエンナーレは、2010年から3年ごとに開催されている国内最大規模の国際芸術祭です。4回目となる2019年は、国内外から90組以上のアーティストを迎えます。国際現代美術展のほか、映像プログラム、パフォーミングアーツ、音楽プログラムなど、様々な表現を横断する、最先端の芸術作品を紹介します。

aichitriennale.jp

今回のトリエンナーレはメディアとジャーナリズム、著作権、コンテンツビジネス、表現の自由などを専門に執筆活動を行っている津田大介氏が芸術監督を務めました。

私は事前の紹介動画を見てトリエンナーレに興味を持ちました。芸術監督を務める津田大介氏が、アーティストのジェンダーバランスに注目し、アーティストの男女数をほぼ半々に調整する試みをしていたからです。

live.nicovideo.jp

芸術の世界は男女平等が進んでるんじゃないの?と思う人も多いかもしれません。しかし、芸術を審査する側、芸術を選考する側、サラリーマンで例えるところの管理職に当たる人たちは依然男性が多く、男社会になっています。芸術を選考する側が男ばかりだと選考にどうしても男の目線が入ってしまいます。アーティストの男女平等が実現されつつある今、アーティストを管理・選考する側も男女平等にしていかなければなりません。

「日本では不自然にもジェンダー平等が実現していない。それはガラスの天井があるのではないか。アファーマティブ・アクション(弱者に不利な現状を積極的に是正する動き)をやっていくべきなのです」

今回のトリエンナーレでは津田氏が主導して、テーマに沿ったアーティストから男女数のバランスを配慮した展示が行われました。

「情の時代」というテーマに合うかどうか。これを前提としたうえで、津田は「女性作家であること(50パーセントを目指す)」という指標のほか、「日本人作家であること(20パーセント)」「若手作家であること(20パーセント)、「愛知にゆかりがあること(10パーセント)」などを作家選定の考慮要素としたことを明らかにした。

bijutsutecho.com

。。。というところまでは良かったのですが、このトリエンナーレ、別の問題が発生しました。 企画展「表現の不自由展・その後」において、慰安婦を表現した少女像などの展示作品に批判が相次ぎ展示の中止にまで追い込まれました。

www.huffingtonpost.jp

確かに、今回問題となった慰安婦を表現した少女像や昭和天皇の写真を燃やした展示では展示の意義についての周知、説明が不足していたと思います。また、反発は予想できたでしょうから、反発勢力と議論する席を設ける、公開討論をするといった準備が必要があったと思います。アドバイザーである東浩紀氏も準備不足は認めています。

政治はひとを友と敵に分けるものだといわれます。たしかにそのような側面があります。けれども、人間は政治だけで生きているわけではありません。それを気付かせるのも芸術の役割のひとつです。あいトリがそのような場になる可能性はありました。 ただ、その役割が機能するためには、展示が政治的な扇動にたやすく利用されないように、情報公開や会場設計を含め、もっとていねいな準備と説明が必要だったように思います。その点について、十分な予測ができなかったことを、深く反省しています。

www.j-cast.com

なんやかんやあったあいちトリエンナーレですが、展示自体は面白かったので簡単に感想を書きたいと思います。

総評

今回は名古屋市豊田市を二つの中心拠点とし、それぞれの拠点周辺に複数の会場が用意され、作品が展示されるという形式でした。四間通の歴史的な建造物を利用した展示や廃校のプールを利用した作品など、地元に密着した作品もありました。

地元密着的な展示は名古屋観光も促進されて良い、、、のですが真夏に街中を歩きまわるのがちょっと大変です。名古屋市の会場は3つに分かれていたのですが、それぞれの会場間にはシャトルといった特別な移動手段は用意されてなく(一部のみ存在)、 普通に地下鉄+徒歩で移動する必要があります。駅から徒歩8分、15分といった距離なのでタクシーに乗るのもなあ、と歩いて行ったら体には熱がこもり汗がだらだらで後半は鑑賞に集中できませんでした。これから行く人は素直にタクシーに乗ったほうが良いと思います。

展示は全体的にジャーナリズムに沿った作品が多かったです。テーマは男女平等や戦争です。ジャーナリズム作品はとても勉強にはなったのですが、面白さは半減といった感じでした。というのも、リベラルであるということは理性的であるということだと思います。理性的につくりあげられた作品からはアーティストの情熱や思いといった熱がいま一つ伝わってきません。ジャーナリズムとそれに対する情熱の融合が今後の芸術の課題かなと感じました。

また、映像作品が多く、全てをじっくり見るには二日では足りません。 個人的には、映像作品という形式は良くないと感じました。というのも、映像作品は鑑賞者の時間を奪いすぎです。展示物が大量にある中、一つの映像作品で1,2時間も消費することは現実的ではありません。集中力も奪います。一度に見ることができる定員も限られます。映像作品を展示するにはもう少し工夫が必要だと感じました。

名古屋市周辺会場

ここからは個人的に気に入った作品について一言感想。

ウーゴ・ロンディノーネ

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シュールレアリスムを参照しているのかダリを連想させる展示。一人の人間が24時間にするの45の振る舞いを表しているらしい。ピエロの格好をしているのは、我々はしょせん道化だと皮肉っているのか。私には皆疲れたような顔に見えたが。

dividual inc.

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人生の最後の10分間に記す遺言を参加者から募集したもの。実際のタイピングを記憶しておき、タイピングの速度や文字の削除なども再現される。 ほとんどの人が大切な人への感謝であった。後悔や不安が1割くらい。これを見て本当かな?とも思った。あと10分で死なないとわかっているから、満ち足りた感謝を書けるのではないだろうか。本当にあと少しで死ぬとなったときの感情は、どんなものなのだろうか。

モニカ・メイヤー

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女性が受けているハラスメントについて様々な人の経験を掲示したもので物凄く生々しい。 日本は男女平等な社会だと勘違いしている人達に、ここにある悲痛、現実を見せてやりたい。

青木美紅

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女性にとっての妊娠、子供をつくることに向き合った作品。 男性にはないプレッシャーや苦悩を凝縮したような感じ。悩みがじわじわと伝わってきて、どうして人間は自由に生きられないのだろうと思った。

藤井光

日本統治下の台湾で台湾人を日本人化する動画を展示。その動画を現代によみがえらせるため、留学生と協力し現代の学生に日本人化を追体験させた映像作品。

豊田市周辺会場

スタジオ・ドリフト

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花の開閉の仕組みを模した証明。 機械を使用して花の動きを再現する展示。現代の彫刻と解説されていた。普段見ることのない花の開閉を見事に再現した美しい展示。彫刻や写真だけが芸術でない、新たな道を指示していてとても感慨深い。

トモトシ

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豊田市にとってトヨタとはなんなのか。それを浮かび上がらせる作品。 トヨタのエンブレムを発掘するというコミカルな作品。現地の人の協力もなんだかおもしろい。現代的な芸術の向き合い方なのかなと、ちょっぴり楽しくなった。

和田唯奈

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「しんかぞく」というプロジェクトで、体験型の展示を展開。 これは凄い展示だった。展示体験中に沸き起こるなんともいえない、不思議な感情があるのは確かなのだが全く言葉にできない。最後の「ひきつぎ」のときにはちょっぴり寂しささえ感じた。このような体験型展示も現代っぽくて、もっと広がれば良いのにと思う。

Kaggle Tokyo Meetup #6を参考に勉強したいこと

前略

Kaggle Tokyo Meetup #6の発表を参考にこれから勉強したいなと思う技術等についてコメントします。 ついでに参考になりそうなリンクも載っけていきます。

発表スライドの一覧をまとめている方がいらっしゃったのでこちらをどうぞ。 qiita.com

えじさんのブログには質疑まで記録されています。 amalog.hateblo.jp

Kaggle PetFinder 2nd Place Solution by Wodori

iMet 7th place solution & my approach to image data competition

Quora Insincere Questions 10th Place Solution & 昔話

PLAsTiCC 3rd Place Solution

Neural Network 素人なんだけど何とかご機嫌取りをしたい

Improving the way we work with learning rate. - techburst

  • 名言 「ぼくのかんがえたさいきょうのにゅーらるねっとわーく→全くうまくいかない」

kagglerのためのAllenNLPチュートリアル

-名言 「 AllenNLPはいいぞ」

kaggle Freesound Audio Tagging 2019 4th place solution

スライドはこちら kaggle Freesound Audio Tagging 2019 4th place solution

  • MIXUP

新たなdata augmentation手法mixupを試してみた - Qiita

  • スライド中のcropping ensenmbleというのは今後の音声コンペにも使用できそうだ

Large-scale Landmark Retrieval/Recognition
under a Noisy and Diverse

DSIRNLP#1 ランキング学習ことはじめ

  • 名言 「cleaned subset」

Santander Customer Transaction Prediction 2nd place solution

  • roundしてcount encodingというのは近いデータをまとめるという意味だと思うので、連続データのビニング+カウントは必須特徴量かな?

マーケティング手法間の連携について

はじめに

マーケティングにはいくつかのフレームワークがありますが、それぞれのフレームワークを連携させる方法について疑問に思う点がありました。疑問点とその解決法について書きたいと思います。

背景

最近、社内のマーケティング研修に参加しました。下記の図のようにフレームワークを連携させて分析を進めていく手法を学んだのですが、連携する際に不明瞭な点があり、うまく使いこなせませんでした。使い方について講師に質問しても、「マーケティングは理論だけじゃなくて情熱も必要だから!」という非論理的な回答をされてしまいました。

「あなた達は非論理的な自分の感想で商品戦略を考えているのですか?」とは言えませんでしたが、大変不満足でしたので、フレームワークの連携について改めて自分で整理してみたいと思います。個々のフレームワークの詳細は割愛します。

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分析の流れについて引用

drm.ricoh.jp

(言っておきますが私の会社は図の引用元の会社ではありませんよ!)

フレームワークの流れ

研修ではPEST->5F->3C->SWOT/クロスSWOT->STP->4Pの順で分析を行いました。PEST/5F/3Cで事実を確認し、SWOTでそれらの分析をまとめました。その後、STPでターゲットを決め、4Pでプロダクトを考えました。一つ一つの手法についてはよくわかったのですが、これらを連携させるのが難しかったので、連携させるときのポイントを整理していきたいと思います。

PEST

PESTではマクロ環境分析を行います。自社のプロダクトの市場に影響を与えるマクロな要因を政治(法規制や政治的動き)/経済/社会(人口動態や習慣)/技術の観点で整理します。

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「トレンド」欄にはマクロ環境の客観的事実を記載します。それぞれの事実が市場に与える影響についての評価を「市場に与える影響」に記載します。

  • このとき、影響がプラスなのかマイナスなのか切り分けます。切り分けにくいと感じたら、その事実の抽象度が高い可能性があるので、事実をさらに細かい要素に分解します。
  • 市場に与える影響を考えにくい場合は、その市場の売り上げ構造について振り返ってみるとよいです。おおむね(価格)×(個数)×(満足度)の観点で考えればよいと思います。価格であれば、材料の原価、人件費、配送費、ブランド、コモデティ化などが考えられます。個数であれば需要、シェア、生産力、販売チャネル、購入サイクル、代替品の登場、法規制などが考えられます。満足度については品質や納期などがあります。

難点は、マクロ要因が市場に与える影響の確からしさがわからないということです。例えば、政治状況が良いから市場が拡大するのでは!と思っても、因果関係を証明するのはまず無理でしょう。したがって、PEST分析は大きな流れを見て、これから検討する戦略の筋が悪いかどうかを判断するための制限のようにとらえると良いと思います。日本はどんどん人口が減っていくのにたくさん売ってなんぼの商品は筋が悪い、といった具合です。

5F

5Fは業界構造の現状を分析する手法です。既存企業の状況、川上川下の交渉力の強さ、参入障壁や代替製品について整理し、収益性を判断します。ここで収益性とは製品の粗利です。5Fは事実ベースで調査が可能なので、やりやすいと思います。

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5Fの図を引用

drm.ricoh.jp

難点は、それぞれの状況が自社にとって有利か不利か判断するのに主観が入るという点です。例えば、一般に自社製品の部品製造業者が少ない場合は、部品製造業者の交渉力が強く不利と判断します。ですが何社くらいから少ないといえるでしょうか?この辺の判断は業界に関係する企業について深い知識が必要なので、経験値によっては判断が異なる場合があります。

3C

3Cは、顧客、競合、自社の三つを分析します。どんな顧客がいて、どんなニーズを持っているのか、競合はニーズに対してどのように対応しているか、それを受けて自社はどのように強みを活かす(差別化する)か、弱みは何か、を整理し、 重要成功要因(KSF)を見つけ出します。

  • 最も重要なのは顧客の分析で、ここが全ての土台となります。セグメンテーションは後程行うので、この段階では業界の顧客全体を想定し、様々なニーズ、市場規模とその変化を整理します。
  • ニーズに対して競合企業がどのように対応しているか、具体的には価格/種類/品質/ブランディングなどリソースと仕組みを調査します。このとき、競合の動向を具体的に調査するのですが、その内容を抽象化して競合がどのような「価値」を訴求しているのかに焦点を置きます。なぜかというと、具体論に入りすぎると、自社について考える際に具体論になってしまい、事実確認フェーズなのに解決法に思考が向いてしまうからです。
  • 顧客と競合の状況が整理できたら、それらを比較参考にして自社はどのように対応できているか整理します。そして他社との差別化ができそうな方向性を抽出し、KSFとします。ここで、検討するのはあくまで方向性で、具体的な方法は考えません。

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以上、三つの手法で次のことを行いました。

  • PEST -> 市場に影響を与えるマクロ要因を整理する
  • 5F -> 業界の収益性を整理する
  • 3C -> 重要成功要因(KSF)を見つけ出す

SWOT(クロスSWOT

SWOTでは内部環境の「強み」と「弱み」、外部環境による「機会」と「脅威」を整理します。内部環境とは自分たちで制御可能なもの、外部環境とは自分たちで制御できないものを指します。 PEST/5F/3Cをすでに行っているので、これらからマッピングすることですぐにSWOTを作成できます。 - 強み -> 3Cの自社の強み(差別化できる要素) - 弱み -> 3Cの自社の弱み(競合より劣る要素) - 機会/脅威 -> PESTおよび5Fから導かれる業界の動向や市場規およびその変化、3Cおよび5Fから導かれる顧客のトレンド/ニーズや業界構造の問題

作成したSWOTからクロスSWOTを行います。SWとOTを掛け合わせて自社がとるべき方向性を整理します。

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  • 要素を掛け合わせると、ついつい解決策まで考えがおよびますが、具体論は考えず、方向性にとどめます。着目する業界の動向と活かすべき強み、克服すべき弱みを羅列するくらいでいいと思います。
  • いくつかの掛け合わせを検討した後、実際に実施すべき方向性をいくつか採用します

STP

SWOTで採用した方向性をもとに、セグメンテーション/ターゲッティング/ポジショニングを進めます。 SWOTの方向性を決める際に着目した顧客のニーズがあると思いますので、そのニーズを持つ顧客の属性を整理します。整理する観点は引用します。

  • 「地理的変数」・・・国や地域、都市の規模、発展度、人口、気候、文化・生活習慣、宗教など
  • 「人口統計的変数」・・・年齢、性別、職業、所得や学歴、家族構成など
  • 心理的変数」・・・価値観、趣味嗜好、ライフスタイルなど
  • 「行動変数」・・・購買状況や購買パターン、使用頻度といった製品に対する買い手の知識・態度・反応など

drm.ricoh.jp

職業/性別/性格...などセグメンテーションする属性を決めたら、そのうち現実に存在する組み合わせのパターンを考えます。例えばバリキャリ、女性、アウトドア志向.../事務職、女性、サブカル系...のような感じです。程度パターンが出来たら、実際にその人物が実在しているかのような、リアリティが出るレベルまで緻密化します。このユーザー像のことをペルソナといいます。例えば、コンサル業、女性、30歳、趣味はサーフィンとスノボ、年下彼氏、港区在住、タワマン住み、車はアウディ、食事は常に外食...のような感じです。

  • ペルソナを考える際、「平均的な人」を考えてはいけません。メーカー勤め、男性、40歳、趣味は映画...といった具合の平凡な設定はイメージしやすいものの、特化する部分がないので、商品戦略を考える際に商品も特徴的なものになりにくくなってしまいます。イノベーター理論によると、最初に商品が売れるのはイノベーターやアーリーアダプターです。これらの人々に商品が浸透すると、マジョリティが商品の価値を理解して買ってくれるようになります。したがって最初に商品を届けるイノベーターやアーリーアダプターはマジョリティにとってのモデルケースとなるような「イカした」人物であることが求められます。取り組みやすいのは、世間ですでに浸透しているレッテル(ITオタクや草食男子など)を利用するか、有名人で例えることです。
  • また、本質的には平均的な人間なんていないことに注意しましょう。各人それぞれ独特のこだわりを持っているものです。しかし、いざペルソナを作ろうとすると平均化してしまいがちなので、注意しましょう。
  • ペルソナが出来たら、ニーズを緻密化します。リアリティに基づいた、より詳細なニーズの深堀を行います。そして、各ペルソナにとって商品購入の決め手が何かを抽出します。この決め手を重要購買決定要因(KBF)といいます。このとき、SWOTで想定したニーズに合わないペルソナはターゲティング候補から外します。

次にターゲティングを行います。それぞれのペルソナと似た集団をセグメントと考え、そのセグメントの市場の規模、競合の参入状況、自社の強みを活かせるか評価します。

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総合的に判断して、ターゲットとするセグメントを確定します。

最後にポジショニングを行います。ターゲティングで決めたセグメントのペルソナのKBFを軸にとって、自社と競合をマッピングして差別化できているか確認します。

drm.ricoh.jp

  • 差別化できていない場合は3Cの自社の強み分析が足りない可能性があります。もう一度3Cに戻って検討しなおします。
  • 自社や競合が斜め一直線に並ぶ場合は、KBFの軸どうしに相関がある可能性があります。例えば、価格と機能などです。高機能ほど高価格になるのは当たり前なので、これだと役に立つ分析とは言えません。KBFの軸に取るのは、○○が高いor低いではなく、例えば高級さ<->手軽さのように、軸の両端に価値があるようにしたほうが良いです。対立概念をしっかり考えましょう。
  • KBFはあくまでも「価値」です。具体的な機能があるorない、とならないようにします。

4P

ここまででニーズとターゲットセグメントが決定しました。これを受けて、ニーズを満たす商品を考えます。

  • KBFを支える機能やデザインを持つプロダクト、付随機能/サービスを提供する。
  • 利益が出るプライスの設定をする。規模と価格のバランスをとる。
  • ターゲットとする顧客まで届くための販売プレイスを用意する。
  • イノベーター/アーリーアダプター/マジョリティで分けたプロモーションを行う。

この4Pを考える上でも、顧客のニーズが中心だということに気を付けます。なるべく製品開発側の都合を排除し、あくまで顧客が必要な機能か、需要がある価格か、販売プレイスを利用できるか、どれくらい関心があるか、で判断します。

drm.ricoh.jp

おわりに

以上簡単にですがフレームワーク間の連携と、ちょっとしたコツについてまとめました。 ざざっと書いたので書き方が変なところは後で直します。

法人向けAIサービスの導入効果とは何なのか

はじめに

AIを使った法人向けサービスの企画をする機会があったのですが、企画検討を進めていくうちに、

  • AIを使うと何が嬉しいんだっけ?
  • AIの導入効果とは何か?

と、ドツボにハマってしまったことがありました。 この記事では今一度、AIの導入効果についてまとめ直し、AI導入の際にスムーズに検討が進むようにしたいと思います。

前提

  • 法人向けAIサービスに限定します。書いてて気づいたのですが、BtoCだとこの記事は当てはまらなさそうです。
  • 記事の性質上、新情報を継ぎ足して完成度を上げていくつもりです。
  • AIを考える上で無視できないのがロボットです。画像認識や音声認識がinputのI/Fとすると、ロボットはoutputのI/Fです。本記事では、データ処理をするソフトの部分に注目し、ロボットについては考察を割愛します。

参考

そもそもAIとは?

そもそも私たちがAIと呼んでいるものは何でしょうか。これについては、MLSE-Q&Aに良い回答が存在します。 これは、2018年5月17日に行われたMLSEキックオフシンポジウムのパネルディスカッションでの質問とシンポジウム終了後の参加者アンケートから抽出・再構成されたQ&Aなのですが、「Q. 人工知能、AIという言葉を使わないのはなぜですか? この研究会では現在よく世間で問われている『AIをいかに業務で使いこなすか?』という問いに対し、対象を機械学習に限定しているだけのように見えます。」という質問に対する回答で、下記に引用します。

これまで「AI」という用語はその時代時代で別個の技術を指していました。初期のAI研究では論理プログラムや探索アルゴリズム、1980年代の第2次AIブームではルールベースのエキスパートシステムなどが「AI」と称されました。現在の第3次AIブームで、これに相当するのがディープラーニングを含めた統計的機械学習です。 (中略) またAIの宿命として、技術が成熟?すると、その技術は世間ではAIとは呼ばれなくなります。機械学習も遠くない将来、AIとは呼ばれなくなると予想されます。しかし,その場合でも機械学習自体は重要なシステム開発技術の一つとして残るでしょう。

このことから、「AI」が指すものは時代とともに移り変わるため、AIを厳密に定義しようとすることに意味がないことがわかります。「AI」はバズワードで、その時々の社会の流れから帰納的に定義される、つまり私たちは「AI」が過去のものになって初めて「AI」に対する共通的な認識を獲得します。 第3次AIブーム1が始まってからしばらく経過し、現在の社会においてAIとして認知されているものの正体がはっきりしてきました。インテリジェント化が加速する ICT の未来像に関する研究会報告書2015によると、AIはこれまで考えられてきたものと合わせて下記の4つのカテゴリーに分類されます。

  • カテゴリー1:単なる制御(言われた通りにやる)

    • 温度が上がるとスイッチを入れる。下がるとスイッチを切る。
    • 洗濯物の重さで洗い時間を調整。
  • カテゴリー2:対応のパターンが非常に多い(探索や知識を使って、言われた通りにやる)

    • 探索や推論。将棋や囲碁で、決められたルールにしたがって、手を探す。
    • 知識。例えば、与えられた知識ベースを使い、検査の結果から診断内容や処方する薬を出力する。
  • カテゴリー3:対応のパターンを自動的に学習(重みを学習する)

    • 機械学習
    • 駒がこういう場所にあるときは、こう打てばよいということを学習。
    • この病気とこの病気はこういう相関があるということを学習。
  • カテゴリー4:対応のパターンの学習に使う「特徴量自体」も学習(変数も学習する) -(特徴)表現学習。ディープラーニングはこの一種

    • 駒の位置だけでなく、複数の駒の関係性をみたほうがいい。
    • こういった一連の症状が、患者の血糖異常を表し、複数の病気の原因になっているようだ。 (カテゴリー4は人間の認知機能を機械上に実現しようとするものであることから、「コグニティブ・コンピューティング」(認知的なコンピュータ計算)と呼ばれることがある。)

本記事では、AIをいずれかのカテゴリに特定することはせず、現在AI技術として括られている要素技術を列挙して、それぞれについてビジネスの応用例を見ていくことにします。

AI技術とAIの導入効果

現在のビジネス界で「AI」として認識されていると思われるAIの要素技術を分類すると下記のようになると思います。

これらの要素技術がどのようにして効果に結びつくのでしょうか。

ITシステムの導入効果

AIやデータサイエンスと言うと格好いいのですが、現場に投入される段階になると結局はITシステムの一部となります。ですので、ITシステムの導入効果を振り返ってみることにします。 ITシステムの導入効果については、事例広告ブログ by 村中明彦というブログにて良くまとまっていました。このブログによると、ITシステムの導入効果は次の3つに集約されます。

  1. 効率化・コスト削減
  2. 属人化の低減
  3. 基盤の確立

それぞれの意味は下記に引用します。

効率化とは、「今までもがんばればできていたが、IT製品を導入して、今はもっとラクに、よりよくできるようになった」ということです。コスト削減とは、「今までもできてはいたが、お金がかかっていた。しかしIT製品を導入したので、かかるお金が減った」ということです。抽象的には、効率化とは「単位投入労力あたりの成果量が増えること」であり、コスト削減とは、「単位成果あたりの投入資源量が減ること」です。 次に属人化の低減とは、「以前はある人ならできていたが、別の人にはできなかった。しかし、ITツールを導入したので、誰でもできるようになった」ということです。 (中略) つまり、基盤の確立とは、「将来、何らかの良い状態を実現させるための、前段階の基礎固め」です。 (中略) 社内業務に、「不可能」はありません。ERPがなくても、財務諸表は作れますし、SFAがなくても営業はできますし、CRMがなくてもマーケティングはできますし、ビデオ会議がなくても出張すれば遠くの人には会えます。青色LEDがない以上、LED信号灯は作れないっていうような不可能はないですよ。 つまり、昔でも何とかできてた。それがIT製品の導入で、よりよく、よりラクにできるようになった、ということです。

ITシステムは社内業務を効率化するものであり、青色LEDや重機などとは違って「できない」を「できる」に変えるものではないと論じています。「人でも出来る」を「機械でもっと~に出来る」に変えるものだということです。

ついでに、システムエンジニアならば誰もが読んだことのある(?)ラノベなれる!SE16 2年目でわかる?SE入門のあとがきにて、次のような一文があります。

ITの本質は自動化です。日常のちょっとした不便をプログラムで解消する。全てのモチベーションはそこが起点です。

以上から、ITシステムの本質は自動化であり、今までのIT技術「できない」を「できる」に変えるものではなく、「人でも出来る」を「機械でもっと~に出来る」ようにするという効果を持っていました。これはAIシステムでも変わらない効果です。

AIシステムの導入効果

では、AIによって「できない」を「できる」ようにした新しい導入効果はあるのでしょうか。 人工知能システムのプロジェクトがわかる本 企画・開発から運用・保守までという書籍に、AIシステムの最終的な目的の代表例として下記の4つが挙げられていました。

  • 売上向上
  • コストダウン
  • 品質向上
  • リスク低減

書籍中ではテーマパークを例にして、それぞれの例を示しています。

  • 売上向上の例……顧客ごとにアトラクションやグッズのおすすめを提示して、顧客の単価を上げる(購買予測)
  • コストダウンの例……グッズショップの在庫管理と追加発注を自動化して、店員の作業時間を 減らす(売上予測)
  • 品質向上の例……顧客がいつでも問い合わせできるチャットサービスを用意することで、顧客満足度を上げる(質問応答)
  • リスク低減の例……パーク内でのトラブルをいち早く検知し、トラブルの悪影響を減らす(トラブル検知)

AIによって検知や予測といった新しいことが出来るようになりましたが、例を見るとわかるように、元々人手で出来ていたことを代わりにAIが代行しているだけです。つまり、AIもまた「できない」を「できる」に変えるものではなく、今までのITシステム同様に「人でも出来る」を「機械でもっと~に出来る」ようにするだけだということがわかります。

それでもAIのおかげで今まで解けなかった課題にも対処できるようになりました。ITシステムの導入効果は変わりませんが、解決できる課題の種類が増えたという見方が正しいのでしょう。すなわち、AIの登場によってビジョンやKGIは変わらないけど、KPIを達成する手段が豊富になったということです。

ここまでをまとめると、AIシステムの導入効果は下記のようになります。基盤の確立はAIシステムの目的でないと思われるので除外しました。

  • コスト削減
  • (お金を払っても賄えない)時間削減
  • 属人化低減
  • 品質向上
  • リスク低減
  • 売上向上

と、まとめたのですが、実はAIシステムにできそうなことがもう一つあります。それは「大容量データから有効なビジネスパターンを発見する」ことです。これについては次々章で考えてみたいと思います。

AI活用事例

以上の導入効果と要素技術を結びつけ、どのような活用事例があるか調べてみました。 ただし、『』内の分類については、私が各事例から推測して当てはめていますので正しいかはわかりません。分類は(分類/回帰/クラスター分析/主成分分析/強化学習/探索や推論/最適化アルゴリズム)のどれかです。

※随時増やしていきます

AIで何かできないか考えるときに、効果×技術は参考になると思います。

仮説構築の手法としてのAI活用

現在はデータサイエンスという言葉に含められてしまっていますが、少し前はデータマイニングと呼ばれるものが流行っていたように記憶しています。マーケターのためのデータマイニング講座:第1章 CRMとデータマイニングの必要性 (2/2)にてデータマイニングの意味が考察されています。

 データマイニングの定義はこれまで多数紹介されていますが、多少表現の違いはあってもほとんどが「大容量データから有効なビジネスパターンを発見する」といった意味合いのもので、「大容量データ」と「発見」というキーワードが共通しているように見受けられます。

データマイニングは回帰や分類とは異なり、変数間の構造や関係性を分析し、新たな仮説の発見を目的としています。

もともと物理学や化学などでは、物質のミクロな構造や組成から、変数間に存在する相関および因果関係についての仮説を構築し、力学的なモデルでそれらを説明してきました。社会科学においても心理や経済における変数間の相関などをモデルに落として説明しようとしてきました。

そして、大容量データをハンドリングできるようになった現在では、ビジネスにおいても有用なパターンやルールを抽出することができるようになりつつあります。ただし、データマイニングと上記の統計手法は意味合いが異なります。統計解析手法とデータマイニングの違いはマーケターのためのデータマイニング講座:第1章 CRMとデータマイニングの必要性 (2/2)に解説があります。

 データマイニングという概念が紹介される以前は、データ分析といえば統計解析手法を用いたものでした。データマイニングと統計が厳密に異なるものかどうかは専門家の議論にゆだねるとして、実務的な解釈では、統計が仮説検証のための手法であるのに対し、データマイニングは仮説構築の手法とされています。

 これが「発見型」といわれるゆえんで、例えば「学歴が高い人は低い人より給与が高い」という仮説を立て、それが本当かどうかを検証するのが統計的アプローチなら、給与額に影響を与える要因を、何の偏見も持たずに白紙の状態から見つけ出すのがデータマイニングといえるでしょう。有名な「ビールと紙オムツ」の併買傾向は、仮説としては極めて想起しにくい組み合わせですので、統計ではなくデータマイニングを行うことで初めて発見された象徴的な事例として語り継がれています。

つまり、科学では物質の構造や人間の心理といったものに基づいて演繹的に仮説を構築していたのに対し、データマイニングでは大量のデータから帰納的に仮説を構築します。仮説の検証の手法は両者で違いはないと思われます。

では、「大容量データから有効なビジネスパターンを発見する」ことはAIの導入効果たり得るのでしょうか。

この疑問に一石を投じたのが、統計モデリングの「解釈」を価値にする営為は斜陽なんじゃね?という話です。

さて,この記事におけ概念をそれなりに定義しておきます. すなわち,主要な統計モデルと,その「説明」,統計モデルで得られた結果の「解釈」を以下のように定義します.

  • 統計モデルは「データ」を用いて何らかの結果を返す構造である
  • 統計モデルによる「説明」とは,データの特徴を何らかの指標(平均の差,回帰係数,あるいはp値など)によって見出すこと
  • 統計モデルで得られた結果の「解釈」とは,統計モデルによる「説明」がどのようなメカニズムでもたらされたかを,統計モデルの外の情報を含めて推論すること

例えばt検定の例を挙げます2.A群とB群との間に差があるかどうかを「説明」します.そして差があった,または差があるとは言えなかった3という「説明」に対して「なぜこの結果が得られたのか」ということを想像や推論で補完する,というプロセスを「解釈」と呼ぶことにしよう,という方針です.

(中略)

タイトルの通り「統計モデルによる『解釈』を"メインの"価値にする」という営為は,個人的には価値があるとはいえない将来性のある行動とはいえないと考えています.

根拠は「『解釈』の妥当性を客観的・定量的に評価できない」ことが大きいです. (中略) こうした正しいかどうかを評価できない「解釈」を価値にしたモデリングは以下の

  • 丁寧に計画されていないデータ分析をしても何かしら「意味があるように」見せられる
  • 顧客の曖昧な課題に曖昧なまま答えられる

という分析側に都合が良いことはある一方

  • アドホックな解析しかできない(≒ 継続的な収益源とならない)
  • 顧客の課題を改善する意思決定を,本当にもたらすかどうかを評価できない
  • 曖昧な顧客の課題が明らかにならないままクローズする

という都合の悪さがあり,解釈ワークに時間を割くわりにはコスパが良くないというわけです.

一言でまとめると、「予測や分類のメカニズムをデータ外の情報を用いて推測しても、正しさが証明できないので、価値たり得ないのでは?」ということです。

科学をやっていた身としては、メカニズムの解明のためにデータマイニングで仮説を構築して、仮説を検証できるデータを集めて検証して、また新たな仮説を構築して、と考察を深めていけばいいのではないかと思うのですが、私たちがいま取り組んでいるのはビジネスです。ビジネスでは予算も時間もないので仮説に対して何度も検証していられません。しかも上司からは早く結論がほしいと催促されます。結局、データマイニングで構築した仮説は検証されることはないでしょう。したがって、「統計モデルによる『解釈』を"メインの"価値にする」ことに否定的であることは理解できます。

ただ、そもそもビジネスの判断や予測なんて必ず当たるなんてものではありません。経営者にとっては、少しでも経営の判断材料になるなら、という思いで『解釈』を価値と感じることはあると思います。 あとは、往々にして人はデータでは動かないので、データの解釈を以て「納得感」を持ってもらうというのにも使えるのかなと思います。

ちなみに『説明』を越えて『解釈』を売りにしていると思わしきサービス・技術もいくつか見受けられます。

ただやっぱり、現状のビジネスでは、データマイニングは「サイエンスではない」と思います。再び、マーケターのためのデータマイニング講座:第1章 CRMとデータマイニングの必要性 (2/2)から引用して終わりにしたいと思います。

データマイニングは分析スキルが必要とされない手法である  こう断言するのは間違いですが、データマイニングの目的をビジネスプラクティスの向上と考えれば、方法論より結果が重要となるのは事実です。極言すれば、どんなに高度なアルゴリズムを駆使しようが、ビジネスにおいてアクション可能な有意義な結果が出なければマイニングを行う価値はありません。

 その意味においてはITや分析のスキルよりもビジネスセンスに依存する部分が大きいでしょう。分析結果を統計的観点から評価するにはかなりの知識が要求されますが、ビジネスの理解が十分なら、現実と照らし合わせたうえでの評価が可能です。データマイニングツールには最先端の高度なアルゴリズムが搭載されていますが、最良の結果を最短で得るためにはアルゴリズムでなくビジネスの知識がより重要で、ツールにはこのユーザーの知見を分析に反映しやすいデザインが施されていますので、スキルの要らない手法という位置付けが与えられているのもうなずけます。

おわりに

この記事では法人向けAIサービスの導入効果について調べたことをまとめました。

願わくばデータドリブン文化が醸成されて、データマイニングで構築した仮説を積極的に検証するのが当たり前のことになりますように。


  1. 松尾豊,『第1回:人工知能の概要とディープラーニングの意義』,http://ymatsuo.com/DL.pdf

  2. 最適化アルゴリズム教師なし学習と言っていいのでしょうか。この分類はill-definedな気がするので、何か分類方法があると嬉しいです。

SIからの脱却?サービス化の意義とは

はじめに

少子化による人材不足や働き方改革による残業の低減、顧客のIT投資節約など複数の要因が重なって、SI業界は収入源を人月商売以外で模索しています。

少々過激なタイトルですが、次の記事にてSIの問題が挙げられています。

課題山積のSIビジネスはやがて崩壊し、SIerに将来はない。

  • IT分野の低コスト化が求められるようになったこと
  • クラウドで提供される業務システムが増え、受託SIへの需要が減ったこと
  • SIerの人材が不足し始めていること
  • 求められる技術レベルが高くなっていること
  • IT分野の低コスト化が求められるようになったこと

これは実感があります。 特にメーカー系SIer十八番であるハードが売れなくなっているのは数字に出ています。 また、SaaSなどのサービス利用によってコストを下げようとする動きがある一方で、データサイエンスなどはコア業務と位置づけ、内製化する動きが見られます。

  • クラウドで提供される業務システムが増え、受託SIへの需要が減ったこと

これは微妙な感じです。 SaaSなどのサービス利用は増えているものの、ノウハウが無いためサービス導入を受託したり、カスタマイズで個別SIが入るというのはまだまだある印象です。

  • SIerの人材が不足し始めていること
  • 求められる技術レベルが高くなっていること

これは実感があります。 IoTやFintech、ブロックチェーンなど様々な技術が生まれ受注のチャンスである一方、必要な技術が細分化され、スキルがマッチする人材を確保することが難しくなっています。外注頼りのSIerは専門技術を持っている要員を抱え込んで確保してるところもあるでしょう。

こういった事態を打開すべく、SIを脱却し、サービスに転換する企業も見られます。

SIがサービスになることで、ユーザーは必要なときに必要な物を、使う分だけの費用で利用できるという恩恵を受けられます。

この記事では、SIと比較して、サービスがどのようなメリットを持つのか考えてみたいと思います。 技術視点ではいくらでも違いがあると思いますが、今回はサービスを提供する側のビジネス、経営視点で考えてみたいと思います。 MECEを意識せず、ブレスト的に列挙したいと思います。

定義

  • SI 顧客の企業課題を受託のITシステム開発で解決すること。

  • サービス 提供側でリソースを持ち、顧客には利用権を与えて価値を提供すること。

サービスのメリット

技術を非公開にできる

SIだとソースコードも納品することが多く、ノウハウが他社に盗まれてしまう恐れがありました。一方でサービスだと、ソースコードは公開しませんので、技術を秘匿することができます。 同様に運用報告もありませんので、効率的な運用のノウハウを盗まれることもありません。

価格を原価でなく価値に付けられる

SIではハードやソフト、人件費全て明細で確認されてしまいます。顧客の情報部門に目利きがいると、原価を推定され値下げを要求されてしまうことがあります。 サービスでは原価の構成を開示しませんので、原価をもとにした価格交渉をされにくいです。

大量展開でコストメリット

SIの場合、顧客ごとに資材や人を調達するので、それぞれ製造原価がかかります。 サービスの場合は、リソースを自社持ちにするため、異なる顧客に対して同じ基盤を使用でき、コスト低減を図ることができます。

標準化によるコストメリット

サービスでは全ての顧客に共通の基盤で対応するため、使用する技術を揃えることができます。これにより人材の確保や教育のコストが下がります。

固定収入が得られる

SIは毎回受注競争がありますが、サービスは一度導入してしまえば、継続して収入が得られます。 乗り換えにもコストが発生しますし、顧客の予算確保は年単位なので、予算検討時期に乗り換えられないようにアピールさえすれば何とか継続収入を得ることができます。

運用ノウハウが溜まるし、活かせる

同一のサービスを同一の運用部署で運用するため、ノウハウを一ヶ所で管理でき、しかもきちんと活かすことができます。SIのようにノウハウが別システムでは役に立たないものになるということはありません。

サービスのデメリット

必ず顧客が付くわけではない

サービスは受託ではなく、開発、すなわち投資案件になります。売れるか確定しないものを作るのにはリスクがあります。

値上げが難しい

SIの場合、一個一個案件が独立しているので請求費を変えることができます。 サービスの場合、顧客ごとに価格を変えたり、継続利用しているところに途中で価格を変更したりするのが難しいです。 エンハンスも追加で料金をとるのではなく、今まで儲けた分で、となりやすいです。

SIよりも安くしないと売れない

顧客側がSIに対して慣れていると、サービスの中身をSIで実現したときの費用を見積もられます。SIと比較してサービスの方が高くつく場合、うまく説明出来ないと結局SIにしてくれと言われてしまいます。

価格決めが難しい

サービスでは価値に価格がつきますが、前例の無いサービスの場合、提供側も買う側も価格の妥当性を判断できません。保守的な顧客だと、価格が妥当だとわかるまで、導入を控えられる場合があります。

何に従量課金するのかメニュー整備が難しい

単純に月額なのか、通信量なのか、使用回数なのか、値付けの方法がたくさんあり、検討に時間がかかります。 (こういう所こそ理系院卒の数理知識の使いどころだと思うんですが、経営者には認知されていないようです)

顧客規模の格差を吸収するのが難しい

使用量が多い顧客と少ない顧客で課金が同じで良いのか、という問題があります。

廃止ができない

儲からない場合はサービス廃止も必要なのですが、利用者がいる限り撤退が難しいです。 撤退する場合は、類似サービスの紹介といった保証が必要になる場合があります。

カスタマイズが難しい

個別にカスタマイズすると、コストメリットが受けづらくなります。しかし、顧客によっては業務プロセスを変えることが出来ないため、カスタマイズは必須という場合があり、その場合は失注になります。

顧客の競合が顧客にならない場合がある

サービスの内容によりますが、提供物が顧客の差別化戦略の対象になっている場合、競合と同じものを使わない、ということになり、業界全体を囲めない場合があります。

料金固定のため入札対応が難しい

公共の顧客の場合、受注は入札になりますが、価格競争となった場合、サービス価格を変えることが難しいです。 また、利用料が変動するため、公共のように予算がガチガチに決まっている場合は利用料が読めず、導入を見送る場合があります。

サービス化すると良いもの

まとめると、「顧客それぞれが持っていた共通のリソースを提供側で集約でき、かつ運用において独自のノウハウや技術があるため、それらを極端に効率化できるもの」または「業界や規制で手順が決まっており、各社共通になっている業務のプラットフォーム」はサービス化するとうまく行きそうです。

AWSはサーバリソースを集約し、独自の技術で運用することで効率化しています。

TWX-21 Web-EDI/BBサービス業界標準のデータ交換手順を実装したプラットフォームです。

GCP業務支援システム tsClinical DDworks21は治験の実施計画立案から終了手続きまでサポートするシステムで、治験はGCP省令によって厳しく手順が決められています。

米国のSaaSはもともと業務プロセス特化のソフトウェアを単純にSaaS化したものが多い印象です。(会計ソフトやワークフローシステムなど) https://www.americabu.com/saas

一方でMicrosoft OfficeAdobeサブスクリプションモデルを導入していますが、上記のようなメリットがないように思えます。 これはベンダのメリットというより、ユーザのメリットの影響が大きいからです。メリットがあるから、というよりはやらないとデメリットになるからという状態になっているのだと思います。

BPO1までやるか

サービス化の本質は自己リソースを効率的に運用して利幅を稼ぐことなので、時にはリソースを自社で抱えることが必要になります。

例えば、プラットフォーム的な事業をしている企業を買収し、IT技術で運用を効率化したり、共通業務に特化した合弁会社を設立するなどです。 特に、最近流行のAIや機械学習はコスト削減に強いため、AIシステムは外販するよりも、内部で使った方が良いと思います。

一方で、リソースを抱えるということは在庫リスクが生じるということなので、効率化によほどの自信があるか、体力のある大企業でしか、事実上は不可能でしょう。

あえてSI

無理にサービス化するのではなく、ソリューション事例をメニュー化し、カスタマイズパターンをある程度用意することで導入スピードを早く、コストを低減する方法もあります。 毎回御用聞きをするのではなく、ある程度形になっているものから選ぶという手法です。

これに取り組んでいるのが日立製作所で、過去の事例をLumadaユースケースとして用意しています。

Lumadaとは

日立では、多岐にわたる業種・業務のノウハウや知見を、さまざまな分野のお客さまとの協創で迅速に活用するために、Lumadaのユースケースとして凝縮・蓄積しています。 Lumadaユースケースとは、お客さまと協創で新たな価値の創出を実現したデジタルソリューションをモデル化したものです。それぞれの>ユースケースには、データからどのように価値を創り出したのか、人工知能やアナリティクスなどにどのような技術を適用したのか、といった要素が整理されています。

おわりに

この記事ではサービスのメリット、デメリットについて列挙しました。 サービスはデメリットはあるものの、本質的に無駄を削減するものでもあるので、これからはどんどんサービスに転換していくのではないでしょうか。

おまけ

記事とは全く関係ないですが、面白かったものをここに残しておきます。

大手SIerの役割とは http://blogs.itmedia.co.jp/noubiz/2013/09/sier.html

富士通株式会社 国内SIビジネスの強みと展望について http://www.irwebcasting.com/20180709/1/082b64521f/mov/main/index.html


  1. ビジネス・プロセス・アウトソーシング https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ビジネス・プロセス・アウトソーシング

データサイエンティストの要件

データサイエンティストに必要なもの

Data Science Online Course

東京大学グローバル消費インテリジェンス寄付講座主催のData Science Online Courseは社会人技術者やマーケティング担当者、情報分野以外の研究者等を対象者とした東大のデータサイエンティスト/未来のCMO育成講座の社会人向けオンラインコースです。

オンラインコースの第一回はデータサイエンスの説明だったのですが、その中ではデータサイエンティストは下記のように説明されていました。

ビジネスの課題に対して、統計や機械学習(数学)とプログラミング(IT)スキルを使って、解決する人

参考としてリンクが付記されていました。データサイエンティストのスキルセットのイメージと解説が記載されています。

image.png

解説によれば、データサイエンスとは、高度な数学と統計、プログラミングおよびモデリング技術とを組み合わせ、エンタープライズクラスのツール、テクノロジーアーキテクチャ(すなわちコンピュータサイエンス)を活用することですが、それらの能力だけでは不十分で、ビジネスドメインを深く理解することによって、立てた仮説を実際の現場に適用することができるのだ、とのことです。

次のリンクにはデータ分析のプロセスの図が掲載されています。 image.png 講座では、重要度が高いのはビジネス理解であり、モデリングだけしていてはいけないということを強調していました。

データサイエンティスト協会

データサイエンティスト協会のプレスリリースでは、データサイエンティストを下記のように定義しています。

「データサイエンティストとは、データサイエンス力、データエンジニアリング力をベースにデータから価値を創出し、ビジネス課題に答えを出すプロフェッショナル」

こちらにも似たような図が登場します。3つの丸の一番上に「ビジネス力」が来るように、ビジネス力はかなり重視されていることがわかります。 キャプチャ.PNG

データサイエンティストとは

データサイエンティストの定義はどちらもほぼ同じ定義ですが、どちらも述語が「ビジネス課題を解決する」になっています。つまり、ただの統計屋でなく、ただのエンジニアでもなく、ただの企画屋でもない、これらの力を組み合わせてビジネスの課題解決まで導ける人がデータサイエンティストということになります。

キャプチャ.PNG

ビジネスの世界で生きていく以上は、自分は分析だけできればいい、なんてわけにはいかないようです。

【随時更新】AIの定義について引用したい文献

はじめに

分析の案件を受注する際にお客様から「AI(人工知能)って結局なんなの?何ができるの?」と聞かれることがしばしばあります。本来は自社のポリシーとして、「株式会社□□ではAI(人工知能)とは○○と考えています」と定義すべきですが、このような定義がない会社も多いと思います。かくいう私の会社もAIについて統一的見解を示していません。したがって、それぞれの案件担当者がお客様に説明をするのですが、このとき個人的な考えを伝えても説得力もありませんし、細かいことを聞かれても答えられません。そこで、AIの定義を説明する際に引用できる資料についてまとめたいと思います。

引用したい文献

AI(人工知能)とは

個人的にはディープラーニングG検定の公式テキストから引用するのが良いと思います。東京大学の松尾豊教授が理事である一般社団法人日本ディープラーニング協会が出しているテキストで、検定の教科書です。ディープラーニングについてさまざまな領域のエンジニアや研究者、学生などに技術を習得させることが目的であり、過度な宣伝などはなく、AIについて冷静な記述がなされています。このテキストによればAIは「推論、認識、判断など、人間と同じ知的な処理能力を持つ機械(情報処理システム)」となります。

人工知能」が、推論、認識、判断など、人間と同じ知的な処理能力を持つ機械(情報処理システム)であるという点については、大多数の研究者の意見は一致しているといってよいでしょう。しかし、「人工知能とは何か」については、専門家の間でも共有されている定義は未だにありません。なぜなら、そもそも「知性」や「知能」自体の定義がないため、「人間と同じ知的な処理能力」の解釈が、研究者によって異なるからです。

浅川 伸一,江間 有沙,工藤 郁子,巣籠 悠輔,瀬谷 啓介,松井 孝之,松尾 豊. 深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト) 公式テキスト.

人工知能学会も似たような説明をしていますが、こちらはいまひとつ要領を得ません。

人工知能」とは何だと思うでしょうか?まるで人間のようにふるまう機械を想像するのではないでしょうか?これは正しいとも,間違っているともいえます.なぜなら,人工知能の研究には二つの立場があるからです.一つは,人間の知能そのものをもつ機械を作ろうとする立場,もう一つは,人間が知能を使ってすることを機械にさせようとする立場です(注1).そして,実際の研究のほとんどは後者の立場にたっています.ですので,人工知能の研究といっても,人間のような機械を作っているわけではありません.

(社) 人工知能学会(https://www.ai-gakkai.or.jp/whatsai/AIwhats.html).

総務省情報通信白書では現状を分析し、あえてAIについて定義を置いていません。

例えば、人工知能(AI)を「人間のように考えるコンピューター」と捉えるのであれば、そのような人工知能(AI)は未だ実現していない。また、現在の人工知能(AI)研究と呼ばれるほぼ全ての研究は人工知能(AI)そのものの実現を研究対象としていないことから、人工知能(AI)とは各種研究が達成された先にある、最終的な将来像を表現した言葉となる。ここで例示した、「人間のように考える」とは、人間と同様の知能ないし知的な結果を得ることを意味しており、知能を獲得する原理が人間と同等であるか、それともコンピューター特有の原理をとるかは問わないとされる。また、人工知能(AI)とは「考える」という目に見えない活動を対象とする研究分野であって、人工知能(AI)がロボットなどの特定の形態に搭載されている必要はない。 このような事情をふまえ、本書では人工知能(AI)について特定の定義を置かず、人工知能(AI)を「知的な機械、特に、知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」と一般的に説明するにとどめる。

総務省 平成28年版 情報通信白書(http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc142110.html).

AI(人工知能)は何をする?

それでは,実際の研究ではどのようなことをしているのでしょうか?人工知能の研究には,人工知能研究で紹介しますようにいろいろな分野があります.ここでは,この中から「推論」と「学習」を取り上げます.

「推論」とは「知識をもとに,新しい結論を得ること」です. 「学習」は何か機械が勉強をする感じがしますが,ここでは「情報から将来使えそうな知識を見つけること」です.

(社) 人工知能学会(https://www.ai-gakkai.or.jp/whatsai/AIwhats.html).

おわりに

AIの統一的な定義はありません。このことはMLSEキックオフシンポジウムのアンケートの回答が的を得ています。

またAIの宿命として、技術が成熟すると、その技術は世間ではAIとは呼ばれなくなります。機械学習も遠くない将来、AIとは呼ばれなくなると予想されます。しかし,その場合でも機械学習自体は重要なシステム開発技術の一つとして残るでしょう。 機械学習工学研究会

AIは時代時代によって指すものが変わってきました。最初は簡単なルールベースのアルゴリズムから始まり、最近はディープラーニングを指すようにまでなりました。AIという言葉に惑わされず、中身に注目するようにしたいですね。